![]() | スイミング・プール 無修正版 シャーロット・ランプリング、リュディヴィーヌ・サニエ 他 (2005/01/21) 東北新社 この商品の詳細を見る |
監督:フランソワ・オゾン
脚本:フランソワ・オゾン
エマニュエル・ベルンエイム
撮影:ヨリック・ルソー
音楽:フィリップ・ロンビ
出演:シャーロット・ランプリング
リュディヴィーヌ・サニエ
チャールズ・ダンス
ジャン=マリー・ラムール
マルク・ファヨール
ミレイユ・モセ
【ネタバレしています。】
仕事に行き詰まりを感じているミステリー作家のサラ(ランプリング)は 恋人の出版社社長ジョンに勧められて 彼の別荘で気分転換の休養をとる。
風光明媚な南仏の別荘は穏やかな空気に満ち溢れ、サラは誰にも邪魔されずに執筆に集中できる環境であることを楽しんでいた。
ところが そこに突然ジョンの娘ジュリー(サニエ)がやって来て サラのペースは狂い出す。
自由奔放なジュリーは 男を連れ込んでは酒を飲み戯れ、サラの神経を逆なでするように好き勝手をする。
やがてサラの苛立ちは好奇の目に変わり、ジュリーを題材に小説を書き始めるサラ。
そんな中、予想もしない殺人事件が起きてしまう。
燦々と降り注ぐ南仏のソレイユシャワーを浴びて たゆたゆと青さを湛えたプールの水面に揺れながら 軽い眩暈を覚えるラスト・・。
物語の展開は徐々に不思議ワールドに入り込んだように 怪しげな錯覚でいっぱいになります。
きっと何かが起きるオゾン監督作品、目を凝らして見守った2時間弱。
やはり 私の戸惑いながらの記憶の断片は 見事にプールの底深く沈んでしまったようです。
ランプリングの不敵な微笑みが まるで私を嘲笑うように見える、くぅーーーっ!
別荘を訪れたサラは ベッドの上の十字架を外し、好きな食料を冷蔵庫にセットし、プールサイドで日光浴をし、気が向くとパソコンに向かい執筆、そして気分転換に村のレストランに食事に出かける。
すっかり別荘での生活を満喫するサラの描写はセリフも少なく 淡々と彼女の動きを追い続けています。
その細やかな描写の中にサラの人物像が見事に映し出されていて 視線を逸らす暇はありません。
そこへ サラの満足な時間を掻き乱すジュリーの登場!
今思えば この時点で既にサラの妄想の世界・・つまりミステリー小説が始まっていたのです。
ジュリーは魅惑的な裸体のまま プールで泳ぎます。
その行動はジュリーの性格そのままに 何事にも自由奔放であり無責任に周囲に不幸を撒き散らす危険性を孕んでいます。
えてして それが魅惑的に映る瞬間があり 気が付くと虚飾に満ちた誘惑を生んだりもする。
サラの中に ジュリーに対しての憧憬と侮蔑の両者が存在したことは 歴然としています。
サラにとってのジュリーは自分が成し得て来なかった「自由」と「奔放」を持った女性。
それはサラにとっては永遠の憧れであり 実は手が届きそうで決してそれまで実現に至らなかった憧れでもあるのです。
そのジュリーに対する苛立ちと好奇心の中で 自分の中の「女」を強く意識するサラ。
やがて サラも懇意にしていたレストランのオーナーとジュリーとの情事の末の殺人事件で ついにジュリーより優位に立ったサラ。
自分に対するじれったさは 彼女のプライド高い性格を経由すると 常にジュリーより優位に自分を置く事で 自己満足に回帰してくるところが女のいやらしさを殊更にアピールしているようです。
ここはまさしくオゾン監督の独壇場と言ってもいいでしょう。
サラの中にある本能というべき欲望と それまで彼女の社会的ステータスを支えてきたモラルとの狭間で生まれた極上のミステリー。
そんな捉え方をすると非常に満足出来る作品です。
そして 至るところにサラの虚構の世界に通じる伏線が存在しているが 一度きりの鑑賞では把握し切れなかったもどかしさが残ってしまいました。
もう一度観たい作品です。
