![]() | マイティ・ハート/愛と絆 スペシャル・コレクターズ・エディション (2008/04/04) アンジェリーナ・ジョリー、ダン・ファターマン 他 商品詳細を見る |
監督:マイケル・ウィンターボトム
製作:ブラッド・ピット 他
原作:マリアンヌ・パール
『マイティ・ハート』(潮出版社刊)
脚本:ジョン・オーロフ
撮影:マルセル・ザイスキンド
音楽:ハリー・エスコット 他
出演:アンジェリーナ・ジョリー マリアンヌ・パール
ダン・ファターマン ダニエル・パール
アーチー・パンジャビ アスラ・ノマニ
イルファン・カーン キャプテン
ウィル・パットン ランダル・ベネット
デニス・オヘア ジョン・バッシー
アドナン・シディキ ドースト・アリアニ
ゲイリー・ウィルメス スティーヴ・レヴァイン
2002年1月末〜2月、パキスタンのカラチ。
夫であるウォールストリート・ジャーナルの記者ダニエル・パールを誘拐殺害された妻マリアンヌ・パールの手記の映画化。
共にジャーナリストの二人は、マリアンヌの妊娠を期に帰国する予定だったが、ダニエルは最後の取材に出掛けたまま行方不明になってしまった・・。
「イン・ディス・ワールド」や「グァンタナモ僕たちの見た真実」を思い起こす、史実に忠実に向き合ったドキュメンタリー・タッチのマイケル・ウィンターボトムらしい作風でした。
そんな中で描かれている現実はとてつもなく過酷な出来事です。
ただ今回も、加害者と被害者という立場で描かざるを得ない演出は エンターテイメントとしての表現の自由を踏まえても尚、そこに中立性を見出せない限り 様々な宗教観を持つ人々の祈りも虚しく、今回も異文化間の相互理解の難しさの中に永遠を感じてしまうのです・・。
この作品をキッカケにジャーナリスト・ダニエル・パールを検索してみました。
様々NETに掲載されている資料を読むにつけ、「誰がダニエル・パールを殺したのか?」という点に付いて触れ、結論付けた記事も多く目に触れます。
そして それらの闇はひたすら深い・・。
この作品を観ていて、9.11以降、イラク戦争の最中に現地に入った西側のジャーナリス達が殺害されたり、日本人の人質殺害事件もあり、あの重苦しい時間が否応なく蘇ってきます。
先ほども書きましたが スクリーンに映し出される状況は史実に忠実に描かれているような印象があります。
多分にハンディ・カメラの動きが それを効果的に演出しているようです。
ダニエルが行方を絶ってから 舞台はパキスタンのカラチの夫妻の瀟洒な住まいのリビングとなり、そこにはジャーナリス仲間やパキスタンの地元警察、そしてアメリカ領事館、さらにFBIまで加わってダニエル救出作戦の拠点となります。
一方、その合間に映し出されるカラチの街の喧騒・・。
そこには現地の人々の決して豊かではない生活があり 現地に住むマリアンヌたち外国人の生活レベルとの対比が印象的で、それらにこの作品のテーマとなる問題の断片を感じ取る事が出来ます。
ダニエルの誘拐が判明してからの展開は 私にとって容易に理解することは難しいものでした。
犯行に関った人々の組織や人間関係が複雑でチンプンカンプン〜(泣)
ただ、アフガニスタンではなくパキスタンの地で起きたダニエルの誘拐事件の背景には やはりアルカイダの影があり またパキスタンとインドの関係にも言及されていたり、今も尚解決の糸口が見えない世界情勢の中での出来事だということは理解出来ます。
マリアンヌのリビングには異文化が凝縮されています。
ダニエルを救出するという目的は一つでも お互いに疑心暗鬼に陥いるシーンもあり、そんな中で 当時妊婦であったアリアンヌの体が非常に心配でした。
でも彼女は強い女性です。
ダニエルは最愛の夫であるけれど また同時に同じジャーナリストとして マリアンヌの気持ちの中にこの事件の真相と結末を見極める職業意識もあったような気がします。
異文化で思い出したけれど ダニエルはユダヤ人でありユダヤ教の信者。
そして妻アリアンヌは ダニエルを案じて「南無妙法蓮華」を唱えるシーンがあります。
フランス出身のマリアンヌと「南無妙法蓮華」、ここは興味深かったなぁ・・。
いろいろな人々がいろいろな手段を使って、ダニエル誘拐犯の捜査を進め、ついに重大な人物に行き着くものの、結果は最悪のもとなります。
当時、よくニュースになった憎しみが凝縮した最悪のシーン。
ダニエルも不幸にして その被害者となってしまったのです。
一縷の望みを絶たれたマリアンヌが泣き叫ぶシーン、それまで何とか保たれていた彼女の緊張が音を立てて崩れ去った瞬間です。
>>世界中があきらめても、
>>彼女は愛する人を待ち続けた。
>>生まれてくる新しい命と共に…。
ラストシーンは、このコピーが悲劇を乗り越えたマリアンヌのその後の人生を映し出して終わります。
そしてテロップには ダニエルのご両親が異文化の真の交流の為に財団を立ち上げたことが綴られ、彼らの憎しみを超えた尊い良心を知ることが出来、少しだけ気持ちが癒され救われました。
監督はウィンターボトム、そして製作にブラピ、主演はブラピのパートナーであるアンジェリーナ・ジョリーです。
アンジェがハリウッド・スターであることが、ドキュメンタリー・タッチのこの作品の中でどのように映るのだろう??という思いはあったものの、いつしか彼女がマリアンヌその人に見えていたということは 彼女の抑えた演技力とそれを見極めたキャスティングの成功といえるのかな??
そういえば、彼女のフランス訛の英語がとても可愛くて印象的でした〜。
今もまだ続くこれらの現実を忘れてはいけないですね。
この作品と、そして先日観た「パラダイス・ナウ」を両方観ることで 私の中ではバランス感覚が保たれた自己満足があります。
「パラダイス・ナウ」も是非、たくさんの人にお薦めしたい作品です。
