![]() | 孤独な嘘 (2008/03/07) ルパート・エヴェレットエミリー・ワトソン 商品詳細を見る |
監督:ジュリアン・フェロウズ
原作:ナイジェル・バルチン
脚本:ジュリアン・フェロウズ
撮影:トニー・ピアース=ロバーツ
音楽:スタニスラス・サイレウィック
出演:トム・ウィルキンソン
エミリー・ワトソン
ハーマイオニー・ノリス
ジョン・ワーナビー
ルパート・エヴェレット
仕事で多忙なロンドンを離れ、閑静な郊外の住宅で暮らす弁護士のジェームズとアン夫妻。
ある日、ジェームズの家で働く家政婦マギーの夫がひき逃げ事故で死亡するという事件が起きた。
捜査は進展せず犯人は不明のままだったが ジェームズは事故を目撃したマギーの証言から 近隣の友人の息子でNY帰りのビルの車に傷を見付け彼を問いただす。
するとビルはあっさりと自白した。
しかし その自白の裏には思いも寄らぬ真実が隠されていた・・。
ストーリーはサスペンスを含んだ衝撃的な展開を見せますが そこには 邦題にも原題にもある登場人物たちのそれぞれの「嘘」が 辛辣にまた意味深に、そして複雑に絡み合いながら ひとつの常軌を逸した大きな嘘に集約されていく様子が描かれています。
途中、感情移入の難しい展開だなぁ・・と思ったものの、観終わってみると 悲劇の果てに秘密を共有した者同士の「情」のようなものだけが 無力な形で波間に漂っているような余韻を残す作品でした。
【ネタバレしています。】
始まりは ロンドンで弁護士として多忙な仕事をこなす夫ジェームズの帰りを郊外の閑静な住まいで待つ良妻アン、その二人の穏やかな生活の様子。
週末には 素敵な環境や住まいの中で近隣の友人たちとクリケットやホームパーティーを繰り広げる優雅な生活ぶりも画面から伺えます。
しかしこのひき逃げ事件をキッカケに、一見仲睦まじく見える夫婦にも様々な感情の側面があり、そこに修復不可能な亀裂が生じ始めます。
NY帰りでどことなく摑み所の無い謎めいた男ビルを疑ったジェームズに 実はビルとアンの不倫という衝撃的な事実が突きつけられます。
想像だにしなかった妻の不倫、さらにビルの車を運転し事故を起こしたのは何とアンだったという事実!
その瞬間、ジェームズの心の中で家庭も仕事もステイタスも ガラガラと音を立てて崩れていく様子が彼の表情に焦りの色となって現れます。
ここから、この映画の本当の面白さが始まります。
ジェームズは、サラは、ビルは、そして夫をひき殺された家政婦のマギーは、いったいどうするのだろう・・。
過ちを取り繕う嘘、相手を傷付けまいとする嘘、打算の末の嘘、この作品の中にはそんな様々な嘘が渦巻いています。
不倫も事故も自らの罪を告白し償おうとするアンに対して、憎悪の感情を抱きながらも押し留めるジェームズ。
全てを知った家政婦のマギーが警察に告発しなかったのも 過去に自分が窃盗を疑われ解雇される寸前だったことを逆手にとった打算的な行動としか思えない、これも嘘と言えば嘘。
ひき殺された夫はお気の毒・・(苦笑)
ビルはと言えば、ジェームズにアンとの不倫を咎められてしかるべきところだけれど 事故を起こした張本人がアンだと知る人物ゆえのジェームズに対する優位性で不倫に関しては無罪放免!?
嘘に苦しむアンを真ん中にして ジェームズやマギーやビルが彼女を包囲した様相がサスペンスとしての面白さを感じさせます。
このまま終われば怖い話だわ〜でそこそこ楽しめたのですが・・。
この後日談として ビルが病魔に冒され余命幾ばくも無いことが分ると アンは家を出てビルの看病に全てを捧げます。
一方ジェームズも、自分に好意を寄せてくれる秘書とのアヴァンチュールがあったりして。
でもこの夫婦はお互いを思いやる心をどこかに残しているようで 気遣いを見せるシーンもあります。
そこのところ、私には分らない!とは 決して言いません。(笑)
夫婦も年数を重ねると戦友のような部分を共有するものだと思います。
この二人にも そんな感情が芽生えていたのかもしれません。
ただ、果たしてこの後日談は必要だったのかどうか・・、それは少々疑問です。
サスペンスの後の夫婦愛の描写で せっかく前半から中盤に掛けての作品の切れ味の良さがぼやけてしまった感じがしてならないのです。
エミリー・ワトソンとトム・ウィルキンソンという名優に加えて 久しぶりに観たルパート・エヴェレット。
彼ら3人の共演はイギリス映画の香りがプンプンする作品でした。
コメント
早速・・
いろんな嘘が
カポさん、こんにちは。
そうそう、このお話の面白さは、ミステリーが解けてから・・でしたよね。
みんながそれぞれにつく嘘が、その人を表しているようで興味深かったですよね。
後日談、カポさんにはちょっと・・・だったのね。
実は私結構気にいって(?)るんですよ〜。
あの事実を知ったジェームズが言わなきゃいいのに言っちゃうところ・・とか中途半端に正義感のある(苦笑)彼らしいなあと思うし、それを聞いて「私を試すのね」というアンの台詞がなんとも・・。
ただ確かに切れ味はぼやけてしまったような気がしますよね。それまでの展開が引き締まっていただけに・・。
郊外の風景がなんとも美しいイギリスらしい映画でしたね〜。
そうそう、このお話の面白さは、ミステリーが解けてから・・でしたよね。
みんながそれぞれにつく嘘が、その人を表しているようで興味深かったですよね。
後日談、カポさんにはちょっと・・・だったのね。
実は私結構気にいって(?)るんですよ〜。
あの事実を知ったジェームズが言わなきゃいいのに言っちゃうところ・・とか中途半端に正義感のある(苦笑)彼らしいなあと思うし、それを聞いて「私を試すのね」というアンの台詞がなんとも・・。
ただ確かに切れ味はぼやけてしまったような気がしますよね。それまでの展開が引き締まっていただけに・・。
郊外の風景がなんとも美しいイギリスらしい映画でしたね〜。

早速コメントをありがとうございました。
嘘も方便・・とはよく言ったものだと この映画を観て思いましたよ。(苦笑)
とりあえず 苦悩しながらも丸く収まった訳ですから。
ただ一人、亡くなった自転車の男性がひたすらお気の毒ですよね〜。
後日談ね、私ったら偉そうに「余計だ」なんて言い切っちゃっていますが(^^;)
実は瞳さんの感想を拝見してから ジェームズに対する瞳さんの温かな視線に刺激されてしまい、なるほど・・あの夫婦の関係というか、年の差カップルならではの後日談として観てみると感慨深いものがあるなぁ〜と思い直しちゃってます〜(笑)
前半と後半で 別の映画が出来そうですよね。
後半の人間ドラマも ジェームズ・アイボリー風のテイストで面白いかもしれませんね。
「レミング」で観たフランスの郊外といい、今回のイギリスの郊外といい、本当に素敵ですねよね、憧れます♪