宮廷画家ゴヤは見た
2008.10.17 *Fri

監督:ミロス・フォアマン
脚本:ミロス・フォアマン
ジャン=クロード・カリエール
撮影:ハビエル・アギーレサロベ
音楽:ヴァルハン・バウアー
出演:ハビエル・バルデム
ナタリー・ポートマン
ステラン・スカルスガルド フラン
ランディ・クエイド
18世紀のスペイン。
宮廷画家フランシスコ・デ・ゴヤの視線を通じ、当時権勢を振るったスペイン国王カルロス4世や、異端審問の強化を計るカトリック教会の内実、その後のナポレオンのスペイン侵攻など波乱に満ちたスペインの歴史を背景に、当時ゴヤが描いた二人の人物、ロレンソ神父と商人の娘イネスの身の上に起きた悲劇を描いた作品。
そして、十数年の時を経て、二人の悲劇は再び蘇る・・。
ゴヤと言えば「裸のマハ」、そして版画や油絵に見る人間の内面に潜む闇の部分にスポットライトを当てたような不気味な人物像が数々頭に浮かんで来ます。
この作品の中でも タイトルバックやエンドロールに 多くのそれらゴヤの作品が観られ、映画で美術鑑賞も出来る、一粒で二度美味しい作品です。
実物よりも大きなスクリーンで観るゴヤの作品、迫力満点でした!!

物語は、画家として最高位の宮廷画家に登りつめたゴヤのミューズとも言うべきイネスの身に起きた突然の悲劇から始まります。
異端審問・・、聞き慣れない言葉でしたが ストーリーを追っていくうちに、その異常さが否応なく目に耳に飛び込んで来ます。
唯一無二の宗教観とは何なのだろうと いつも考えます。
宗教とは強制ではなく、個人の魂を救い、教え導き、罪を許し、他者を受け入れ、自分を高めるもの!? 無宗教の私が思い描くものはそんな程度でなので お恥ずかしい限りなのですが・・。
ただ、どうしても宗教戦争と言われるものや 宗教による弾圧などには非常に違和感を感じるし、今の世界にも脈々と受け継がれた悪しき習慣として人々の心に様々な形で残っていることが悲しいです・・。
ちょっと話が逸れてしまいましたが、神父ロレンソの提言で再び異端審問が強化され、その毒牙!?に掛かってしまったイネス。
お酒の席でのほんの些細な軽口や行動が、人として当たり前の行動が 当時の彼女には許されなかったのです。
そしてそれは彼女の人生を大きく狂わせしまいます、悲劇的に。
投獄され、拷問を受け、人間らしい生活を奪われた彼女に漬け込む神父のロレンソ。
神に仕える人々の裏の顔を描く作品は多いけれど ロレンソもまたこの時代の犠牲者だったという位置づけで描かれています。
ロレンソとイネスの間に起きた出来事・・、純粋で人間愛に溢れたイネスこそ、ロレンソたちが仰ぐマリア様の母性溢れる遺志をを継ぐ天使のように思えてなりません。
やがてロレンソも追放され、15年という月日が流れます。

フランス革命後、ロレンソは立場を大きく逆転させ、ナポレオンの臣下として 再びスペインの地を踏みます。
そして、釈放されたイネスから ゴヤとロレンソは衝撃的な事実を聞かされるのです・・。
ゴヤはその間、聴力を失うという不幸に見舞われますが それでも尚、精力的に王族から貴族、そして末端の貧しい庶民の姿まで様々な人々を描き続けます。
一見、宮廷画家というと上品な絵画にばかり関っていそうな気がしますが ゴヤはその強い精神力で自分の思いのままに人間の本質を描く事が出来た骨太の画家です。
この作品のゴヤはストーリー・テラーに徹しているので その部分を感じ取るには少々物足りなさが残ります。
ネタバレになりますが・・、結局イネスは獄中でロレンソの性欲の対象となり、ロレンソの失踪後に彼の子供を生んでいました。
そして彼女が釈放され、正気を失いながら 赤ん坊を探し求め彷徨う姿には涙を誘われます。
現実には15年の歳月が流れ、その子供アリシアも一人の娼婦として強く逞しく生きている姿が映し出され、彼らの過酷な運命に胸が痛みます。
再び、ナポレオンの支配から解放され、息を吹き返したスペインのカソリック教会の幹部たちは ロレンソを処刑台に送ります。
ここからのシーンは 運命に翻弄された人々が 何かに導かれるようにロレンソが処刑される広場に集うという、皮肉な展開。

友人の娼婦から預かった赤ん坊を抱くアリシア。
そして暴動が起き、その赤ん坊とはぐれたアリシアが去った後、神に導かれるように赤ん坊のもとに辿り着くイネス。
彼女がその赤ん坊を見つけて、抱き上げるシーンはまるで奇跡のように輝いて見え、この作品の中の唯一の救いのような気がしました。
さらにラスト・シーンの見事なこと・・。
まるで処刑されたキリストと聖母マリアとたくさんの天使たちが天国に帰って行くかのように、私には見えました。

いまやオスカー俳優となったバビエム・バルデムの重厚で分厚い?演技と 可憐なナタリー・ポートマンの見事なコラボレーション。
「キス★キス★バン★バン」で皆がポール・ベタニーに夢中になった頃、私は密かに中年腹のステラン・スカルスガルドに夢中だったのですが(^^;)、彼が演じたゴヤは地味ではあるけれど 当時の画家の存在や野望を知る事が出来て、非常に興味深かったのです。
久々のミロス・フォアマン監督作品、重厚で見応えがありました。
上でも書きましたが エンドロールに多くのゴヤ作品が出てきます。
そして最後の一枚こそ、ゴヤ自らが69歳の時に描いた自画像だったのです。
COMMENT (2)
COMMENT
みみこさんも!!
おはようございまーす。
コメント、ありがとうございました。
>>長いし・・・笑 でも、時々、ふと、喜びも湧いたりするので、ボチボチでもいいから・・
本当、そうなのよね〜
ブログも止めちゃったら、スッキリするかなぁ〜と思う反面、映画の感動を皆さんと分かち合える喜びもブログにはあるしね。
という訳で、ぼちぼち、のんびりですね〜、よろしくお願いします。
みみこさんも ご覧になったんですね〜。
実は私、DVDでいいかなぁ・・と思っていたんだけど(^^;) 絵画好きの友人の「大きなスクリーンでゴヤの絵が観られるよ」という言葉に誘われて一緒に行ってきました。
そして正解でした、本当にゴヤの絵に圧倒されて大満足でした。
ストーリーの展開は、みみこさんの言われるように 本当に急でしたよね。
あらら、ナタリーが・・とビックリしている間に可哀想なことになってしまって、哀れでした。
その後のロレンソの辿った人生も壮絶でしたよね。
厳しい時代だったんだなぁ〜とつくづく思いました。
ステランさんと言えば、「奇跡の海」はとても印象的でしたよね〜〜。
あの時のステランさんには反応しなかったんだけど(苦笑)、キス★バンの飄々としたステランさんの渋セクに すっかりやられてしまいましたよ。
私って、案外キャパが広いなぁ〜と思います。爆
次は「ブーリン」と「おくりびと」辺りにを観に行こうと思います。
劇場行きにも弾みが付いた今のうちにね(^^ゞ)
またお話に伺いますね!
コメント、ありがとうございました。
>>長いし・・・笑 でも、時々、ふと、喜びも湧いたりするので、ボチボチでもいいから・・
本当、そうなのよね〜
ブログも止めちゃったら、スッキリするかなぁ〜と思う反面、映画の感動を皆さんと分かち合える喜びもブログにはあるしね。
という訳で、ぼちぼち、のんびりですね〜、よろしくお願いします。
みみこさんも ご覧になったんですね〜。
実は私、DVDでいいかなぁ・・と思っていたんだけど(^^;) 絵画好きの友人の「大きなスクリーンでゴヤの絵が観られるよ」という言葉に誘われて一緒に行ってきました。
そして正解でした、本当にゴヤの絵に圧倒されて大満足でした。
ストーリーの展開は、みみこさんの言われるように 本当に急でしたよね。
あらら、ナタリーが・・とビックリしている間に可哀想なことになってしまって、哀れでした。
その後のロレンソの辿った人生も壮絶でしたよね。
厳しい時代だったんだなぁ〜とつくづく思いました。
ステランさんと言えば、「奇跡の海」はとても印象的でしたよね〜〜。
あの時のステランさんには反応しなかったんだけど(苦笑)、キス★バンの飄々としたステランさんの渋セクに すっかりやられてしまいましたよ。
私って、案外キャパが広いなぁ〜と思います。爆
次は「ブーリン」と「おくりびと」辺りにを観に行こうと思います。
劇場行きにも弾みが付いた今のうちにね(^^ゞ)
またお話に伺いますね!
お邪魔します〜
まずは、お帰りなさい〜〜。
とってもうれしいです★
また色々とお話お付き合いくださいね。
私も、カポさんと同じく、前より、ブログへのエネルギーは落ちていますよ。しょうがないですよね・・
長いし・・・笑 でも、時々、ふと、喜びも湧いたりするので、ボチボチでもいいから、やっていこうと思っていますけれど。お互い、のんびりいきましょうね・・♪・・で・・この映画。ご覧になられたのですね・!!私も、久々のミロス・フォアマン監督ということで
楽しみにしておりましたよ。確かにゴヤについての話を期待すると、え〜〜と思いますけれど、主役2人の男女の運命はとても興味深く、最後まで目が離せなかったですよね。女性としてはイネスのその後を見るのは辛かったですけれど。拷問が・・すぐでしたよね。
心積もりがなかったからビックリ・・。カボさん大丈夫でしたか・・・。
現実に、悲惨な運命をたどった人は沢山いたのでしょうね。胸が痛むわ。
<ステラン・スカルスガルドに夢中だったのですが>
おお〜〜そうなのですか。キス★キス★バン★バンの時は私もポールのほうにいっちゃたかな・・。
彼は古い、奇跡の海とか・・の印象をいまだもっています・・・。
宣伝地味だったようですが、この手の作品好きな人には
お勧めですよね。
まずは、お帰りなさい〜〜。
とってもうれしいです★
また色々とお話お付き合いくださいね。
私も、カポさんと同じく、前より、ブログへのエネルギーは落ちていますよ。しょうがないですよね・・
長いし・・・笑 でも、時々、ふと、喜びも湧いたりするので、ボチボチでもいいから、やっていこうと思っていますけれど。お互い、のんびりいきましょうね・・♪・・で・・この映画。ご覧になられたのですね・!!私も、久々のミロス・フォアマン監督ということで
楽しみにしておりましたよ。確かにゴヤについての話を期待すると、え〜〜と思いますけれど、主役2人の男女の運命はとても興味深く、最後まで目が離せなかったですよね。女性としてはイネスのその後を見るのは辛かったですけれど。拷問が・・すぐでしたよね。
心積もりがなかったからビックリ・・。カボさん大丈夫でしたか・・・。
現実に、悲惨な運命をたどった人は沢山いたのでしょうね。胸が痛むわ。
<ステラン・スカルスガルドに夢中だったのですが>
おお〜〜そうなのですか。キス★キス★バン★バンの時は私もポールのほうにいっちゃたかな・・。
彼は古い、奇跡の海とか・・の印象をいまだもっています・・・。
宣伝地味だったようですが、この手の作品好きな人には
お勧めですよね。
2008/10/20(月) 07:48:59 | URL | みみこ #mQop/nM. [Edit]
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